2018年 01月 09日
ついに来てほしくなかった初めてが |
新年早々やらかしました。
風邪がすっかり治って、今年初の運転練習の帰り道、教習所は隣町にあって私は電車を一駅乗って行くのですが、そこの駅の近くには姪っ子達が住んでいて、まだ学校が始まらないのでその日はお姑さんたちが見ているから会いに行くことに。
ところが実家に到着すると、ちょうど義妹が早めに仕事が終わったと言ってもう迎えに来ていました。
私の姿を見た大きいほうの姪っ子は「麻子が来たから遊びたい」と駄々をこねだしてしまい、小さい姪っ子もわけわからずぎゃー!みたいな感じになってしまったので、義妹が「1時間くらいうちに来る?」と。
夫が帰ってくる時間まで2時間ほどあったし、夕飯の準備もできているし、じゃあ1時間だけ遊ぼうということに。
電車の時刻を確認して、そろそろ帰るねと義妹に言うと
義弟がもうすぐ帰ってくるからそしたら車で送ってあげるよというのですが、言ってるそばから姪っ子たちがぎゃーぎゃー!となっていて、一駅だけだし電車もあるから大丈夫大丈夫、と。
かなり時間に余裕を持って駅に向かっていたのですが、歩きながらアプリをもう一度開けると、乗る予定の電車もその前に着くはずの電車も結構遅れていて、前の電車が今到着しようとしていることがわかりました。
走るのめんどくさいな、と思ったのですがもう駅の前まで来ていたので、走って反対側のホームに今まさに着こうとしている電車に乗ろうと走りました。
ところがあと一歩でホームという瞬間がくっと足がなり、すごい勢いで前につんのめり段差に右足のすねを打ったのですが、派手に転んだ恥ずかしさや、何としてでも電車に乗りたくてそのままの勢いで立ち上がって数メートルさらに歩いて電車に乗りました。
電車のドアが閉まり、ふー、間に合った、転んだけど痛みもそこまでひどくないしとドアの近くに立っていると、肩をたたかれました。
振り返ると若い女の子が目を丸くして下を見ろというジェスチャー。
ん?
なんと右足のすねから血がだらだら流れていて、足元に血がちょっともう溜まっている状態。
え?!
痛みがないせいなのか、意外とそれを見てもぎゃー!というようなパニックも感じず、のろのろとカバンからティッシュを出そうとすると、その女の子がティッシュを出してくれて、さらに床の血を拭こうとするので
「私、実はさっき転んだんです。それから次の駅で降りるし、家は駅のすぐ近くだから大丈夫です。本当に大丈夫。自分で拭きます。」とやけに自分でも冷静な声が出ました。
とりあえず少し血を拭きながら、駅に着いたので歩いてみると少し痛いけど動けるのようなのでゆっくり家へ。
夫に連絡しておこうと思い、電話をして「転んで血がすごい出てるけど歩けてるから家に向かってる。」と。
後から彼が言うには、私が普通の声だったからちょっと足を切ったんだろうと思っていたと言ってました。
確かにその時自分でも、ちょっと当たり所が悪かったのかなくらいに思っていました。
家についてとりあえずジーンズを脱いで傷口を確認。
むむ、結構深い?
とりあえず冷水で洗い始めると、段々痛くなってくる。
でも血はさっきほど出てこないようになってきたし、汚れている感じもない。
うちには消毒液がなかったので、ちょっとどうしようかと思ったけど傷が深かったのもあって、同じ階に住むピアノの生徒さんの家に借りにいくことに。
消毒をして、とりあえず血がだらだら流れてくるわけではないし、生徒さんのママも「うーん、すぐに緊急外来(Pronto soccorso)に行くほどではないかしら?でも少し様子見たほうがいいかもね。」と。
しばらくして夫が帰宅。
傷口を見せると、「なんかなあ、ぱっくり傷開いてるのが嫌な感じだなあ。」と、しばらく傷口を見た後に写真を撮りだしたので、何かと思ったら、同僚で前に病院の緊急外来で働いたことがある人がいると。
(医者ではなく、緊急搬送がどうとか言ってたけど何の仕事?ちなみに今はシステムエンジニア)
その同僚の見解は、「緊急外来に行ってもいい気がする」とのこと。
とりあえずガーゼで簡単に傷口をふさいで、うちには消毒液も大きな絆創膏もなかったので夫の実家のそばの大きな薬局に買いに行き、実家で手当てをしてみるけれど、傷口を見たお舅さんが
「緊急外来じゃなくて、夜間診療(Guardia medica)にとりあえず行って見てもらえば?」と。
夜間診療に行くと、6人くらいの人が順番待ちしている。
少し座って待ってみたのだけれども、全然診療室から人が出てくる気配もない。
待合室の隣には救急隊員らしき人が数人いて、休憩中なのか待機中なのか食事をしたりテレビもついている。
たまたま横を通った隊員に夫が声をかける。
「すいません、妻が転んでちょっと深い傷ができてるのですが、ここでどうにかなる怪我なのか緊急外来に行くべきかよくわからないので、どなたか見てもらえませんか?」
最初は、「私わからないわー。」とその人は言ったのですが、「他の隊員でわかりそうな人がいるわ」と。
隣の部屋に通されて、転んだ経緯を話しながら傷を見せると
「あ、これ緊急外来で2,3針だね。」
ええええ?
すっごい簡単に言われたけど、その人はもうすごい確信持っていて「これ縫わないと痛いままだし治らないよ。あと、外で転んでるから破傷風の注射も必要。」
適当にガーゼなんかでふさいでいた傷口をきれいに手当てしてもらい、今夜は一番近いところにある病院の緊急外来はかなり混んでいて私のように、今にも死にそうではない小さな傷だと何時間も待つかもしれないけど、他にもいくつか病院はあるから早く行きなさいと言われました。
隣町の大きな病院に着いたのは22時過ぎ。
待合室には山のように人が待っていました。
今までに、イタリア在住の人の話で緊急外来に行って一晩中待ったとか、待ってるうちに少し症状が改善して結局何もしないで帰ったとか色々逸話を聞いていたので一体どれくらい待つのだろうかとドキドキしながら、まず受付というか症状を見て状況判断をするブースへ。
そこは手の空いた看護師が見てくれるのか、着いてすぐにインターフォンを押した時は全然誰も出て来てくれず結局30分後くらいにそのブースへ。
状況説明をしながら傷口を見せると「うーん、これは縫うか縫わないか、先生次第かなあ。」と。
再び消毒とバンドエイドを取り替えられ、破傷風の注射(antitetanico)を受けたことがあるかと聞かれました。
破傷風(tetano)という言葉が最初わからなかったのですが、多分破傷風だなと思い、「多分受けていたとしても子供の頃で、少なくともこの10年、15年のうちに受けたことはないです。」と。
保険証を提示し、看護師さんが登録すると「あら、外科の列はあなたの前に3人しかいないからそこまで待たないと思うわよ。」と言われました。
つまり外科と内科で列が違ったのです。
そして、ID登録された紙のブレスレットを巻かれ、レシートのようなものを渡されました。
そこには私の番号と外科と書かれ、また私のランクは「緑」となっていました。
緊急外来には4つランクがあって、下から白、緑、黄色、赤となっていました。
待合室に戻って、呼び出しのモニターを見ていると現在すでに呼び出されて診察を受けている、治療を受けている人が25人、待合室にいる人が13人。
そのうち外科は私を含めて3人待っているというのが23時頃の状況でした。
待ちながら段々わかったのは、この待合室に山のようにいる人たちのほとんどが付き添いの家族で、それに気が付いた時「え?これってまさか危篤状態の人の家族?」と思ったのですが、全然そういうわけではないようでした。
次から次からやってくる人が確かに、家族総出でやってくるのです。
そして、私の前にいた人は12時間くらい前からここにいると言っていました。
しばらくすると、外科のところに黄色ランクの子供が搬送されたようで優先で治療室に運ばれたという表示が。
なるほど、こういうこともあるから時間がかかるんだなと。
私の傷口は動かすと痛かったのですが、痛み止めを飲みたいというほどでもなく、それよりビビりの私は傷口を縫われるかもしれないということでドキドキしながら待っていました。
黄色ランクの子供は知らぬ間に診察が終わっていて、私の前にいた3人はかなりすぐに診察が終わり、0時半ごろ私の番が。
診察室に入り、再び傷をおった状況説明をしながら傷口を見せると、すぐに
「あー、これは2針だね。」
ひー!とか思ってるうちに、看護師さんがやってきてテキパキと準備。
カルテを書いている先生が突然「君、日本人?ワタナベ?あのさ、アニメでワタナベっていう名前の超強い剣の使い手がいたんだけど、知ってる?」
知りません、知りません、それって歴史で習ったこの人?
看護師さんの用意している針が見えてもう、渡辺綱どころじゃない私。
横にいた夫に向かって先生が「処置が怖いようなら見ない方がいいですよ。」と言ったのを、てっきり自分に言ってるのかと思って
「はい、ものすごい怖がりです、怖いです。」
と言うと、先生は相変わらず夫のことだと思っていて
「旦那さん、怖いなら外に出てください。」と言うので「違います、私です、怖いのは私です。」
すると看護師さんが笑いながら「一瞬一瞬、ちくっと麻酔の針がささるだけ!」
先生も「一瞬一瞬!歯医者の治療と同じだから!」
やだー!イタリアの歯医者で親知らず抜いた人が風船みたいな顔になってるじゃないかあ!
そんなやりとりをしているうちに2,3回ちくちくっと。
さあ、いよいよ縫いますよと先生が針を刺しながら「痛くないでしょ?」と言ってる先からとても痛い。
「先生、痛いです!」
「じゃあ、ここは?」
次の部分はもう麻酔が完全に効いていたようでその後は無事に2針縫われました。
縫った糸が青いのが気になる・・・。
そして、破傷風の緊急処置の注射を太ももに打たれました。
これはあくまでも緊急処置なので効果が1か月くらいらしく、自分の街の保健所で後で10年くらい効果がある本当の注射を打つようにと言われました。
抜糸は10日後くらいに、自分の街のかかりつけ医にやってもらうようにと。
抗生物質も痛み止めも渡されず、万が一次の日とかに腫れてるとか熱があるとかのようならかかりつけ医に行くように、そして普通に売ってる痛み止めを飲むようにとのこと。氷で冷やすのでもいいとも言っていました。
怪我から今4日ほど経ち、腫れたり猛烈に痛くなったりするわけでもなく、傷が盛り上がりながら塞がっています。
2日ほど歩くのにちょっと痛くてびっこ引いてましたが、今日なんかは割と普通に歩けます。
ただ、怪我した場所がピアノのペダルを踏む時に思っていた以上に使う場所で(脛なのに)ペダルを踏んでしばらくするとなんだか傷が痛くなってくるし、歩くのもまだゆっくりなので、ミラノまで電車に乗ったり歩いたりして弾きに行く仕事は1週間ほど休むことに。
病院で「この怪我の診断書を会社に出せばもう1週間クリスマス休暇ですよ~」
と言われたら、すぐさま夫がピアニストですとペラペラ言い出し、うちの街で今年もやることになるコンサートの宣伝をちゃっかりしていました(笑)
敏腕マネージャー、緊急外来でも宣伝。
定期的にミラノで伴奏などの仕事をするようになって以来、特にミラノから帰りの電車に乗るために駅で走ることが割と多くて、いつか自分は駅で転ぶかもしれないから気を付けなきゃとか、でも走れなくなったらそれは年取った証拠だなあとかちょっとふざけて言っていたのですが、こうして本当に転んで、緊急外来にまで行ってしまって以来
「これはこれで大変だったけど、あの時転んで頭うつとか、顔に怪我するとか、腕を折るとか全然有り得たかも・・(ぞっ・・・)」
と、寝る前とかに思ってしまいます。
これからは、もっと時間に余裕を持って、無理や無茶をしないようにしろってことなんですかね。
皆様も足元には気を付けてください。
そしてピアノを弾くのに脛もすごく重要だったってことをお忘れなく!
by barcarolaw
| 2018-01-09 00:48
| イタリア